土地の境界立会いなどで色々な方に接していますと、土地についてよく尋ねられる事項があります。 そこで、よく訊かれる内容を幾つか書いてみます。
内容について、またそれ以外の事柄について、ご不明な点やご質問などありましたなら、 お気軽にご相談ください。
土地を売却したくて不動産屋さんに尋ねたところあなたの土地の場合は、まず地籍更正を 行なって正確な面積に直してくださいと言われました。 登記簿の面積ではいけないのですか?
登記簿に記載されている地積(その土地の面積)は、その土地を実測した面積と 一致しない事がよくあります。 なぜなら、現在登記所に保管されている登記簿の 表題部にある 地積 などの表示事項は、旧土地台帳などの記載事項から 求められたものだからです。
旧土地台帳は明治の時代に作られた物で、固定資産税の課税台帳のような役割を していました。 その後、法の改正を経て、旧土地台帳に尺貫法で記載されていた面積を メートル法に換算して表記したのが、現在の登記簿に記載されている地積です。
明治の時代に縄などを使用して測量したものなので、実際の土地の面積より 少なかったり、多かったりしています。 山林などにおいては、歩測などで測ったようなので、かなり大ざっぱな測り方だったようです。
また、旧土地台帳は固定資産税(古くは地租)の課税台帳のような役割もしていた事もあり、 土地を所有する納税者は、少なめに面積を申告した経緯があるようです。
既に地積更正登記された土地や、地積調査など、その土地の境界点が確定した土地を除いて その他の土地では、登記簿に記載されている面積と、その土地を実測した面積とでは 違いがあるのがほとんどです。
公図に書いてある土地の形と、実際の土地の形が違うようなのですが ・ ・ ・
登記所に備付けられている公図は、旧土地台帳の附属地図であり、古くは明治の時代に 作られた物です。 不動産登記法第17条で定められている地図ではありません。
地籍調査により地籍図が不動産登記法第17条の地図として登記所に備付けられていないものが、 暫定的に公図(地図に準ずる図面)として備付けられています。
公図の場合も、明治の時代に縄などを使用して測量して描かれたものなので、実際の土地の形と 違う場合が殆んどです。
この前、地籍調査がどうしたこうした・・・ とかいう通知が来ました。地籍調査ってなんじゃらほい?
前記の通り、登記所に備付けられている公図(地図に準ずる図面)は、明治時代の 地租改正によって作られた地図を元にしたものです。 その為、土地の境界が判らなかったり、 描かれている土地の形も不正確だったりします。 このままでは、土地の実態を把握する事が できません。 地籍調査を行なう事により、土地の実態を正確に把握できるようになり、 土地の活用・保全・取引などスムーズに行なえるようになります。 一般的に、地籍調査は主として市町村が事業を実施しています。
現在、地籍調査の測量は、国家基準点を使用し数値地積を求めて、境界点1つ1つに X , Y の座標が 決められています。
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公図(地籍調査前) | 地籍図(地籍調査後) |
地籍調査では、一筆ごとの土地について、所有者・地番・地目・境界・地積などに 関する調査を行います。 人間で言えば、戸籍みたいな感じです。(なので地籍)
地籍調査によって作成される地籍図や地籍簿は、登記所に送られてます。 地籍図は不動産登記法第17条地図として登記所に備え付けられます。 地籍調査により土地登記簿は、地籍簿をもとに、現状に合致した内容に書き改められます。
以上のように、地籍調査を行なう事によって、まちづくりに役立ったり、土地の境界などに関わる トラブルを防ぐ事ができます。
隣の人に某月某日のお昼から境界の立会いをしたいのでお願いします。と言われました。 立会いとは、なにをするのでしょう?
立会いをする事により、土地の境界を決める事ができます。 通常、境界を決めるのには 隣接する土地の所有者の方々と立会い、合意する事により決定されます。
例として、Aさんの土地の境界を確定する場合。(下図参照)
Aさんの土地の境界を決めるのには、隣接している土地の所有者である利害関係者の方々、 B , C , Dさんと道路(官地)が関係してきます。 今回、道路との境は、既に決まっていることとします。(青い境界線)
例えば、Aさんの土地のY点(境界点)を決めるためには、 利害関係を持つ隣接する土地の所有者である B , C , DさんとAさんで立会いを行ない 確定させます。
同様にX点に関してはAさんとBさんで立会いをし、 Z点に関してはAさんとDさんが 立会いをして境界を確定させます。
今回の場合、道路との境は既に確定済み(立会い済)としているので、 上記の 4 人の方々が立会いをすることによって A さんの土地の境界が確定します。
このように、通常は土地の境界を決めるために、隣接する土地の所有者の方々(利害関係者) と立会いをして、隣の土地のとの境を確定します。
立会いをしていたら、官民とか民民(の境?)とかいう言葉を聞きました。何の意味?
一種の略語のようなものです。官は官地(道路、水路など官公庁が管理している土地)の ことであり、民は民地(私有地)の意味を表します。
例として、下に図を示します。
この図の青い線は、官地(道路)と民地(私有地)の境なので 官民の境界線になります。 赤い線は、民地と民地の境なので 民民の境界線になります。
官民の境界には、通常、各自治体の名称の一部やマークなどが入った境界標が設置されています。
どれ? どこ?
境界標の種類は、石の杭や金属のプレートなど数種類あります。 境界標を設置する場所によって、どんなタイプを使用するか変わります。
石杭 | 金属プレート | 鋲 |
その他に、プラスチック杭なども使用します。
境界票の上面には、たいてい何かしらの印があり、そこが境界のポイント(境界点)を 表しています。
十字 | 矢印 | 斜め矢印 |
境界標を設置する場所の筆界の状態によって、十字にしたり矢印にしたりします。
官民(官地と民地)の境界には、各自治体の名称の一部やマークなどの文字が 入った境界標を設置します。
市の金属プレート | 市の金属プレート | 市のコンクリート杭 |
当事務所がある地域の厚木市の場合、例えば市道との境などには、上の写真のような境界標を設置。または、されています。